2023 年 8 月 30 日に、W3C のコミュニティグループによって Web Sustainability Guidelines(WSG)1.0 のドラフトが公開されました。
ウェブアクセシビリティのガイドラインである WCAG にインスピレーションを受けており、ウェブサステナビリティにおける信頼できる情報源としての役割を目指しているようです。
実際、ウェブサステナビリティに関連する取り組みや技術は広範囲に及ぶため、このような包括的かつ体系的なガイドラインが存在することはとてもありがたく感じています。
なお、本ガイドラインは W3C 標準ではなく、勧告トラックの対象外ですのでご注意ください。
ガイドラインは、Sustainable Web Manifesto の 6 つの原則が基盤になっています。
- Clean(クリーン)
- Efficient(効率的)
- Open(オープン)
- Honest(誠実)
- Regenerative(再生可能)
- Resilient(回復力)
2024 年 7 月時点では、94 のガイドライン、252 の達成基準から成り立っており、ガイドラインは以下の 4 つのカテゴリに分類されています。
- User-Experience Design(UX デザイン)
- Web Development(ウェブ開発)
- Hosting, Infrastructure and Systems(ホスティング、インフラ、システム)
- Business Strategy and Product Management(ビジネス戦略とプロダクトマネジメント)
また、各ガイドラインでは以下のレイヤーで構成されています。
- Guideline(ガイドラインの見出しと概要)
- Success Criterion(達成基準)
- Additional Content(追加コンテンツ)
- Impact & Effort(影響度と労力)
- Benefits(利益)
- Reporting(GRI Standards)
- Example(例)
- Resources(参考文献)
- Tags(タグ)
適合レベルは、WCAG の「A」「AA」「AAA」とは異なり、Impact と Effort の 2 つの軸から、それぞれ「Low」「Medium」「High」の 3 段階で評価されています。
Benefits のセクションでは、各ガイドラインに取り組むことで期待される効果が言及されており、以下の分野が含まれています。
- Environmental(環境への影響)
- Accessibility(アクセシビリティ)
- Performance(パフォーマンス)
- Social Equity(社会的公正)
- Transparency(透明性)
- Privacy(プライバシー)
- Economic(経済性)
- Conversion(コンバージョン、SEO)
- Operations(運用)
参考文献まで含めると膨大な情報量ですが、見出しや概要を眺めるだけでもウェブサステナビリティで取り組むべき方針が把握できます。
UX デザインや、パフォーマンス、ウェブアクセシビリティに関するガイドラインは、各分野における現時点でのベストプラクティスを統合したような内容で比較的理解しやすく、すぐに実施できる内容も含まれています。
一方、ビジネス戦略とプロダクトマネジメントに関するガイドラインは、制作現場の枠にはとどまらず、より広範に意思決定層を巻き込む傾向にあり、場合によっては組織や事業レベルでの方針転換が必要になります。
このように短期的には達成するのが難しい基準も多く含まれますが、まずはウェブサステナビリティの概念を理解することが重要だと考えています。
以下、機械翻訳の力を借りながらですが、ガイドラインの見出しの日本語訳を列挙します。意訳や補足を含みますので、もし、誤りがあればご指摘いただけると助かります。
2. UX デザイン
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3. ウェブ開発
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4. ホスティング、インフラ、システム
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5. ビジネス戦略とプロダクトマネジメント
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この記事では、Web Sustainability Guidelines(WSG)1.0 の概要について説明しました。
ガイドラインの基準を満たすことで、環境への影響を小さくできることはもちろんですが、ウェブサイトやアプリのユーザビリティやアクセシビリティ、コンバージョン、インフラのコストといった副次的な恩恵まで受けられるので、積極的に取り組むことが望まれます。
とはいえ、WCAG とは異なり、適合レベルへの準拠を表明するためにすべての基準を達成する必要はありませんし、当然ながらすべてを満たすことは不可能です。まずは自分になじみのある項目から取り入れていき、徐々に範囲を広げていくのがよいのではないかと考えています。
もし、何から始めればよいかがわからない場合には、以下の記事でウェブサイトを診断できるオンラインサービスを紹介していますので、こちらを試してみるとサステナビリティへの取り組みのヒントが得られるかもしれません。